「私の人間性の一部は愛知県で、できています(本当です)。」(写真提供:青木さやかさん)
青木さやかさんの好評連載「47歳、おんな、今日のところは「……」として」ーー。青木さんが、47歳の今だからこそ綴れるエッセイ。母との関係についてふれた第1回「大嫌いだった母が遺した、手紙の中身」が話題になりました。第4回は「〈愛知県出身者〉として」です。

巻き髪とおそろいのヴィトン

愛知県が熱い。大河ドラマ『麒麟がくる』は尾張と三河のお話だし、朝ドラ『エール』も海に近い豊橋市がヒロインの出身地だ。

NHKさんに後押しされた勢いで、愛知県出身者として、愛知県を見ていきたい。

ちなみに私は尾張旭市出身なのだが
「愛知県出身なんです」というと、よく言われるのが
「名古屋ですか?」。

確かに、「愛知」より「名古屋」のほうが有名ですね。

「名古屋の女の人、髪の毛巻いてるんですよね。ブランドが好きでデパートが好きなイメージありますよ」

愛知にいる時、友達とお揃いでヴィトンを持ったし、何より私はデパートを信じてる。「名古屋嬢」のイメージもある。

歴史的背景も面白いものがある地域だと言われる。織田信長も徳川家康も尾張である。名古屋市出身の森本レオさん曰く、「長い歴史が愛知県の県民性を作った」とのことである。東と西に挟まれて、愛知県はなかなか苦労してきたそうだ。

上京して20年以上経つが、外へ出た愛知県出身者として、愛知県民とのつき合いはなかなか難しい。

愛知県の人間は、見栄っ張りだとかケチだとか言われる。しっかり者の、そういった一面もあると思うが、私は謙虚な県民だと強く思う。

「愛知県はいいとこ? なんもないよ」

「味噌カツ美味しいかね? 味濃いでねえ」

「東京まですぐ? あんな都会、疲れるで行かんけどねえ」

もはや、謙虚を通り越して卑屈と思われますよ、という心配さえ出てくる。

私は名古屋弁をテレビで使わないのだが、愛知県の人が名古屋弁を使う有名人にきびしい、というのが理由の1つだ。

「名古屋弁あんなじゃないわ、河村市長みたいに話す若い人おらんでねえ」

河村さんにきっと届いているこの声を、ご本人は一体どう思っているだろう。

先日思い切って聞いてみたところ、こんな答えが返ってきた。

「名古屋は日本の三大(でぇあ)都市のひとつだで、その誇りを持って、わきゃあ(若い)人にも、堂々と名古屋ことばを使ってほしいがや」

河村先輩、ありがとうございます!