野呂佳代が良かった『銀河の一票』
<4月~6月にかけて放送された春ドラマで、評価が高かったのが『銀河の一票』(関西テレビ、フジテレビ系)。政治家の娘、星野茉莉(黒木華)が、政界を追い出され、野呂佳代演じるスナックのママ・月岡あかりを擁立して都知事選に挑む物語。脚本は蛭田直美、プロデューサーは、佐野亜裕美。選挙のリアルさ、市民一人ひとりの行動が政治を動かす可能性を丁寧に伝えつつ、印象的なセリフと構成でエンターテインメントに昇華させた。『エルピス―希望、あるいは災い―』でテレビ局を舞台にした社会派エンタメ作品を手掛けた佐野の作品だけに放送前から注目されていたが…>
小林:おふたりとも今回の5選にいれていないですけど、『銀河の一票』 は素敵な作品でした。
川口:ほかが追い上げて落ちちゃいましたけど、好きでした。松下洸平さんが茉莉の幼なじみで衆議院議員を辞めて都知事選に立候補する若き政治家、日山流星役。頭が良さそうな冷静なエリートという感じで松下洸平さんがぴったりでした。
イマイズミ:物語が進むにつれて、茉莉とあかりに協力してくれる人が増えた。ドラクエみたいに仲間がどんどん増えていくから後半に向けて盛り上がりましたね。
川口:あかりを演じた野呂佳代さんもよかったです。いろんなドラマで野呂さんを観ましたが、キャラが合っていてセリフに説得力がありました。
イマイズミ:野呂佳代さんの本領発揮だよね。今まで、ちょい役で印象に残る人物を演じていたけれど、主要キャラクターを演じてもはまりましたよね。
川口:スナックに集う、市井の名もなきおじさんたちが、いろんな得意技で選挙運動を助けてくれるのにぐっと来ました。ちょっとだけですけど、高橋一生さんの『リボーン ~最後のヒーロー~』(2026年春ドラマ、テレビ朝日系)みたいで。商店街の息子・野本英人に生まれ変わった超優秀な社長、根尾光誠が、土地開発のためにつぶそうとした商店街の人たちと交わって、それぞれ持っている能力にびっくりするストーリーでした。
イマイズミ:応援したくなる「至らなさ」みたいなものがあるキャラクターだと感情移入しやすいのかも。
小林:野呂佳代さんが日本の俳優として、新しい扉を開いたと思うんですよ。日本の俳優はどこか、細くてスタイル良くなければいけない風潮を覆して、ふっくらとしていることが幸せな雰囲気であると教えてくれたというか。
イマイズミ:茉莉とあかりの間で交わされた会話、「きれいごとじゃないです、きれいなことです」はいいセリフだったなあ。
小林:私も毎週、社会に一石を投じる蛭田直美さんのセリフにドキッとしたり、泣かされたりでした。ドラマを通して「一票」について考えてもらえるようなものを作りたいっていう、プロデューサー・佐野さんの熱量が伝わってきましたよね。こういったドラマは「一票」の重みを忘れないためにも、定期的に放送してほしいです。
