マイナンバーカードの普及率は16.8%(2020年6月1日時点)と低調だがこの制度で広がるか
専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、経済ジャーナリストの荻原博子さんが、「マイナンバーカード取得者対象の『マイナポイント』制度」について解説します。

手続きが煩雑なうえ、もらえるのは1回だけ

9月1日から、「マイナポイント」がスタートします。この制度は、マイナンバーカード取得後に申し込めば、既存の電子マネーSuicaなど)やQRコード決済(PayPayなど)を使ってキャッシュレスで買い物やチャージをしたときにポイントがつく、というもの。ポイントの還元率は25%で、ひとりにつき上限5000円相当。つまり、2万円のチャージまたは支払いに対して5000円相当のポイントがつくので、4人家族全員が「マイナポイント」を取得すると、合計2 万円相当がポイント還元されることになります。やらなくては損という気がしてきますが、手続きはちょっと大変です。

マイナンバーカードを取得したら、パソコンやスマホなどに専用のソフトやアプリをインストールし、カードのICチップを読み取らせて「マイキーID」を取得。そのうえで、利用するキャッシュレス決済を選び、それで決済をするとポイントが貯まります。

マイナンバーカードは、自治体の窓口で申請するほかにウェブや郵便で申請する方法もありますが、交付は役所の窓口に取りに行くケースが多い(条件を満たせば郵送での受け取りも可能)。新型コロナウイルス対策関連の手続きなどで役所が混みあい、「3密」になっていますから、不安を抱く人もいるでしょう。

さらに、5000円分のポイントがもらえるのは1回だけ。そのためにカードを作っても、コロナ対策の現金10万円給付の際に露呈したように、使い勝手が悪いのです。しかも、個人情報が漏れる恐れもあるとか。果たしてこの制度はうまくいくのだろうかと疑問です。