「空気」に流されない

「国民1人ひとりはまっとうな考えを持っていると思うが、雰囲気、いわゆる『空気』に影響を受けるところがある。個々人がもう少しはっきりした考え方を持つべきだ」=福田康夫氏

「戦争を皮膚感覚として理解している政治家はほとんどいなくなった。こうした経験を根気強くつないでいく必要がある。若い皆さんは歴史の深掘りをしてほしい」=古賀誠氏

伊藤徹日中の意思疎通のラインはほとんど止まっています。中国の強硬な態度には問題があります。日本にも中国と向き合うことを「媚中」としてレッテルを貼るような雰囲気が一部にあります。関係改善の努力が求められていますが、政治家はどこか世間の目を気にしているようです。

伊藤俊福田さんは「政治家は『空気』に流されてはいけない」ということを繰り返しました。「空気」とは、突き詰めるとポピュリズムということだと思います。その空気にのまれると、政治家は勇気を持って言葉を発しにくくなります。また、自民党の中でもう少し活発な議論が行われてもよいと思いますが、衆院選を大勝に導いた高市氏に遠慮するような雰囲気が見られます。福田さんは、高市氏が8月の全国戦没者追悼式で「戦争の惨禍を二度と繰り返させない」と述べたことについて、「普通の日本語でしゃべってほしい」と苦言を呈しました。

トランプ大統領
福田康夫元首相 「世界で起きている戦争について」©️日本テレビ

福田さんは「政治家は見極めなければならない」ということも強調されました。国民の気持ちを政治にどういうふうに反映させるのか。そのまま反映すればいいというわけではありません。国会議員の役割は、寄せられる民意をいったん受け止めた上で、そこに優先順位を付けたりすることです。雰囲気に流されずに、大局を見極める判断力を磨いてほしい。福田さんのメッセージを若い政治家は重く受け止めてほしいと私は感じました。

解説者のプロフィール
伊藤俊行 読売新聞編集委員

伊藤俊行/いとう・としゆき
読売新聞編集委員

1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学第一文学部卒業。1988年読売新聞社入社。ワシントン特派員、国際部長、政治部長などを経て現職。

 

伊藤徹也 調査研究本部主任研究員

伊藤徹也/いとう・てつや
調査研究本部主任研究員

広島県出身。京都大学総合人間学部国際文化学科卒業。1998年読売新聞社入社。浦和支局、政治部次長などを経て現職

 
 

提供:読売新聞