イラスト:泰間敬視
何ごともほどほどが一番──とは言うけれど、健康にいいと聞くとやめられなくなるのが人間の悲しい性。やめどきを見失った自称「通」たちのトホホな結果とは(イラスト=泰間敬視)

過ぎたるは猶及ばざるがごとし

長生きしたい、いつまでも若々しくありたい、とさまざまな健康法を実践している人は少なくない。医療や美容系の取材が多い筆者も、そのたびに影響を受けてはフィットネスクラブに入会したり、健康にいいといわれる食材を摂ったりしてはいるが、飽きっぽい性格ゆえ何をやっても長続きしないのが悩みだ。

一方で、よかれと思って健康法に励みすぎ、痛い目をみてしまう人もいる。筆者が会社勤めをしていた頃の上司がまさにそうだった。健康オタクを自任し、「私は体にいいことしかしないの」が口癖。大量の生野菜と玄米ごはんのみが詰まったタッパーを、昼食として毎日持参。1日に2リットルの水を飲み、真夏でも“冷え取り”と称して靴下を4枚重ねて穿く。そのうえ週3~4回のペースでヨガ教室にも通うなど、海外セレブのような意識の高い生活を送っていた。

ところが、そこまでしているにもかかわらず彼女は年がら年中風邪をひき、周囲に胃腸の不調を訴える。さらには靴下で蒸れた足が水虫になったあげく、ヨガのしすぎで股関節を痛め、しばらく会社を休むはめになっていた──。同僚や部下たちは「あれこれやりすぎなんだよ!」と思っていたが、あまりに一所懸命な彼女に進言できる人はいなかった。もう何年もお会いしていないけれど、元気でいるだろうか……。