イラスト:吉泉ゆう子
あなたには、「友人」と呼べる異性はいますか。結婚後は交流が途絶してしまうケースも多いようですが、女友達とはまた違った、味わい深い関係性を築いている4人の女性たちに話を聞きました。今回は現在、スペイン在住のナツミさんのケースです(イラスト=吉泉ゆう子)

移住先で知り合い、ダンスのパートナーに

最後に、海外でたくましく生き抜く女性と、30歳以上年下の現地男性とのしなやかな友情について紹介したい。

ナツミさん(69歳)は50歳のとき、幼い頃からの夢だった海外移住を実現させた。離婚して娘を育てながら働いて貯めた資金をもとに準備を整え、スペイン南部アンダルシア地方のビーチリゾートを新天地に定めたのだ。

現地の小学校で非常勤の英語教師をしていたスペイン人ホセさん(33歳)と知り合ったのは5年前。ラテンダンスに魅了されたナツミさんが教室に通い始め、そこで友人を介してホセさんを紹介された。彼は英語が達者で、スペイン語で話すよりも数段、会話が弾んだ。すぐにダンスのパートナーとしてクラブに踊りに行く仲になる。彼はちょうどゲイの恋人との結婚式を控えており、ナツミさんを招待してくれた。

「知り合って日も浅いのに、ほかの友達を差し置いて招かれたので、ずいぶんやっかまれました(笑)」

ナツミさんは日本人旅行者を案内する仕事をしている。運転ができず、スペイン語も心許なかったためホセさんにドライバーを頼むと、快く引き受けてくれた。

「彼はスペイン人にしては珍しいほど気働きができて、サービス精神も旺盛。それに陰日向がない性格で、すごくつきあいやすかった」

ナツミさんが発案した、ラテンダンス好きの日本人の観光客に向けた「ダンス三昧ツアー」も生まれ、顧客が増えていく。

30代後半で離婚して以来、ずっと男手をアテにしないことに慣れていたナツミさんだが、ホセさんには気軽に頼める。仕事で必要な電話、力仕事や引っ越し、役所の事務手続きなど、彼のスペイン語と腰の軽さがありがたい。