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専門家が独自の目線で選ぶ「時代を表すキーワード」。今回は、商品ジャーナリストの北村森さんが、「新しい生活様式」について解説します

リアルよりも優れた部分が少しでもあること

数年後に2020年を振り返ると、「ああ、あの年に『新しい生活様式』が唱えられ始めたんだった」となるかもしれません。

新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちは「生活に折り合いをつける」ことを余儀なくされています。人との接触や移動にあたって、減らせるところは減らすスタイルを定着させる。まあこれが新しい生活様式ですね。

この夏休み期間も、オンライン帰省、オンライン墓参りが注目を浴びました。

そこで、考えるわけです。接触や移動を避けるためのこうしたサービス、今後も増えると予想できますが、普及のカギは何か。

私は「リアルよりも優れた部分が少しでもあること」と考えます。我慢を強いるのではなくて、むしろこちらのほうが便利とか楽しいとかいう要素が必須でしょう。ただ単に「リアルに行く/会うことの代替サービス」というのでは、人はいつか耐えられなくなる。

ヒントの芽はすでにあります。アーティストの無観客ライブ配信が話題ですね。たとえば、ロックバンドのサカナクションによる8月15・16日のライブ配信は、映像だけでなく音も相当に凝っていました(しかも家庭の音響環境で聴くのが前提のシステムを組んで……)。「家でこれを体験できるのは、ある意味でリアルのライブよりも贅沢だなあ」と興奮しましたよ。あとは国内外のバーチャルツアー。この先、いろんな知恵が出てくるはずです。

ある観光系ベンチャー企業の代表は言います。「私は、以前の状況にはもう戻らないと思っている」。これ、ビジネスを諦めたという話ではないんです。「だからこそ、躊躇せずに変わる意識が必要」と力説していました。

私たち消費者もまた、そういう気持ちで暮らすべき時代に入ったのだと感じています。