『婦人公論』9月23日号の表紙に登場している天海祐希さん(表紙撮影:篠山紀信)

 

翌日仕事がないと思うとつい夜更かししてしまい

新型コロナウイルスの影響で、世界が大きく変わったと感じています。まさか自分が生きている時代にこんなことが起きるなんて、考えてもみませんでした。

外出自粛要請が出た時は、外に出ないことでどこかの誰かのためになるなら、いくらでも家にいるよ、と心底思いました。そして、自分も含めて私たちは今までやはりちょっと平和ボケ、安全ボケしていたのかも、という気もしました。

それまで当たり前だと思っていた安全・安心な生活が、どれだけの人たちの支えによって成り立っていたのか。たとえばステイホーム中もライフラインのために働いてくださる方、医療現場の最前線で働いている方たちやそのご家族、宅配便のお兄さんやコンビニで働いている方、警察の方たち……皆さん、変わらず私たちを支えてくださった。わかってはいるつもりだったけれど、今まで本当にはありがたさをわかっていなかったんだなと身に沁みました。

自粛期間中よかったのは、気軽に電話できるようになったこと。それまでは連絡手段と言えばメールで、こちらの好きな時間に送り、相手も都合のいい時間に返事をくれていました。でも自粛中は皆さんだいたい家にいるので、誰に電話しても出てくれる。おかげで久しぶりに話した人もいましたし、声が聞けるのがなによりうれしかったですね。仲のいい友人とは2日に1回くらい、たわいもない話をしていました。

母とも、「何してた?」「元気?」などと、毎日喋っていました。1ヵ月くらいそれが続いたら、母は私からの電話に出ると、こちらが聞く前に「元気よ」と言うようになりましたが。(笑)

そういえば一時期、スーパーで納豆が品薄になりましたよね。私は納豆が好きなので、小分けにしたものを冷凍保存して食べていました。

ぬか漬けも好きで以前から自宅でも漬けていましたが、せっかく時間があるのだからいろいろ試してみようと思って。意外なおいしさだったのが、生のアスパラガス。うずらの卵の水煮もぬか漬けにするとおいしいと聞いたので、試してみるつもりです。

お米も、家庭用精米機で五分づきにしたり、八分づきにしてみたり。さらにそこに胚芽米をブレンドして、自分なりに「このブレンドいけるかも」と思ったものを母に送ったりもしていました。母は高齢なので、やはり直接会うのは心配ですから。

翌日仕事がないと思うと、最初の頃はうれしくて、つい夜更かしして映画を観たりしていました。ところがそのうち、気がついたら夜10時くらいに寝て、明け方起床するように。

朝日に向かって手を合わせ、「コロナがおさまるようお願いします」と唱えながら、やはり人間は日の出とともに起きるのがいいのかな、などと考えたり──。こういう期間がないと、そんな思考は生まれなかったと思います。