イラスト:若林夏
赤ん坊からお年寄りまで、一律同額が配られた特別定額給付金。使い方はそれぞれ「自由」なはずだけれど……(「読者体験手記」より)

父親から受け継いだ、どケチ根性

スーパーなどへ買い物に行き、いつも手にするのはおつとめ品や、半額セールの品ばかり。洋服なども同様。そう、私は根っからのどケチなのか、お金が使えない性格なのです。食べたいもの着たいものを買うのではなく、安いものをとりあえず買う。

思い起こせば、3年前に亡くなった父もそんな人で、貯金の9割は使わないままでした。毎日のように、ふつうの肉ではなく200円以下のホルモンを買ってきて、「安い安い」と食べていたものです。決して「うまいうまい」とは言わずに。

でも、実は私は外食にだけは財布が緩んでしまいます。ただ高いお店に行くのではなく、3000円ほどで楽しめる「○○食べ放題」ってやつ。

20代の時は毎日のように焼肉食べ放題に通い、一時は身長が154センチなのに、84キロまで太ってしまいました。45品食べ放題、そのお店で一番高いコースにして90分ひたすら食べ続けるのです。元をとらねばという気持ちで。

そうこうするうち、勤め先の業績が悪くなり、お金が続かないのでそんな生活とはおさらばしましたが、それでも76キロぐらいをキープ。給料が減っても外食へのあこがれは消えず、目をつけたのは株主優待のある外食企業です。業績などせこせこ調べるのは面倒なので、有り金をはたいて、洋食店や居酒屋などの外食企業株に投資しまくりました。

その頃は一緒に出かけた人に「ここは私のおごり。またなんかあったらおごってくれればいいから」と、大盤振る舞い。ちょっぴり儲かった株で自尊心もくすぐられました。ケチなくせに見栄っ張りで、人に頭を下げられるのが気持ちいいという、われながら面倒くさい性格なのです。和牛預託商法にもひっかかりました。契約すると肉がもらえるという言葉に胃袋をつかまれ大金を投資。福島原発事故の被害を受けたと主張して会社が破産し、400万円が紙切れとなりました。

株のほうも、株主優待の改悪や、昨今のコロナ禍による外食離れで、大暴落。気がつけば1000万円が泡となるも、優待ほしさで損切りできず、目減りする資産にやきもきする毎日です。

そんな時に政府から10万円が配られるというではありませんか。早速申請し、2週間もたたずに口座に振り込まれました。

さて、このお金をどうする?