勉強への入り口はマンガだった
織田信長が好きだという伊沢さん、そのきっかけも実はマンガだったといいます。石森プロのお二方とのお話のあと、幼いころからの読書体験について伊沢さんに聞いてみると、ご両親の意外な教育方針も明らかになりました――。
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――小さいころから、教科書だけでなくこうした学習マンガにも触れていたのでしょうか?
伊沢 昔から、人物伝記のマンガは読んでいましたね。織田信長が好きになったのも、小学生の頃、家の本棚にあった伝記マンガがきっかけです。両親が本棚に人物伝記のマンガをいくつか置いてくれていて。『読みなさい』『勉強しなさい』とは言われなかったけれど、自分から自然と手に取るようになりました。まずはマンガで読んでその人物やストーリーが大好きになって、次は学校の図書館で探して本を読む。そうしてどんどんと縦横に学びを広げていきました。
――今回推薦人ということで、『新装版 マンガ日本の歴史』はとくにどんな方にお薦めしますか?
伊沢 「日本史が好きだったけど、なんとなく終わっちゃったな」という20代の方の、学びなおしにお薦めします。実は僕も、日本史は高校の途中までしか勉強していませんでしたが、このシリーズをいま読み返して、「こんな人いたんだ」とか、「このエピソード、いま読むとすごく面白かったんだ」というふうに認識できました。マンガ自体がとても面白いので、軽い気持ちで大丈夫です。あとは、大学に入学したばかりの人で、特に文系の方もぜひ読んでいただきたいですね。歴史というのは、文系の学問の基盤になりますから。
――最後に改めて、『新装版 マンガ日本の歴史』の魅力について教えてください
伊沢 この全集を読んでいれば、クイズ番組で出題される日本史の問題はほぼ答えられるといっても過言ではありません。そのくらいの情報量だと思います。
学校の歴史の教科書では、政治権力の周辺にいる人や、大きな出来事、政治制度などについては学べますが、実際にその当時の人がどんな生活をしていたのか、というところまではなかなか思い描けないものです。
この全集では、僕たちと同じように生活していた過去の人々の日常風景まで、丁寧に描かれています。当時の光景や出来事を自分の目で見ているかのように、歴史に触れることができるんです。
さらにこの『新装版マンガ日本の歴史』は、歴史学者の方々によって、時代考証がものすごく丁寧にされている点も魅力。また、一つの視点だけを提示するのではなく、『こういう説もあります』という、客観的な描き方がされている。
歴史というのは、ともすると簡単に書き換えられてしまうものです。今後の日本を担う若い世代が歴史に真摯に向き合うことは、これからの時代にとても大切なのではないかと、僕は思います。