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コロナ禍で特に甚大な影響を被ったのは、非正規労働者や自営業者だろう。職場の都合で仕事がなくなったり、営業自粛を求められたりして、収入がなくなった人が大勢いる。彼らはその日々をどう生きてきたのか。生活者のリアルな声を取材した

妻の稼ぎがなくなり、食費と日用品費が回らない

奈々さん(46歳・仮名)は、香川県の公立小学校で、図工と理科、書写の非常勤講師を務めている。もとは正規の教員だったが、3人の子どもとの時間を優先し、10年前にシフトチェンジ。収入は半分以下に減ったものの、時間にゆとりができ充実した日々を過ごしていた。夫は同業で、公立小の教頭だ。家計はふたりの収入で回していたが、新型コロナウイルスの影響で事態は一変した。

「学校が3月から5月まで休校になって、その間私は無給になりました。非常勤講師の給与は、授業1コマでいくらという設定なので、授業がなければ収入はないんです。わが家の一番の出費は、予備校に通う長男と、高3の長女、中2の次男の教育費。特に、上のふたりは大学受験を控えているので予備校など塾代が高くて……。夫は管理職とはいえ、一般の教職員と給与は1万~2万円しか変わりません。夫の収入だけではやっていけないのが現実です」

今までは教育費、光熱費は夫が払い、食費と日用品費は奈々さんが担当。家のローンは完済したばかりで、その点は救われた。

「私の収入がなくなってからは、食費や日用品費は夫が出したり、国からの特別定額給付金を使いました。家族全員分の50万円すべてを生活費に回したんです。ステイホーム中は食費が月に10万円ほどかかって、3食作るたびに洗い物をするので水道代も劇的に増えました。給付金の使い道は子どもたちに報告していませんが、この状況を知っているので文句は言えないと思います……」