年明けの状況を想像するのが怖い
しかし、給付金だけではピンチを切り抜けられず、奈々さんは苦渋の決断をすることに。子どもたちの貯金を取り崩したのだ。
「3人の子どもたちが生まれたときに作った、郵便局の3つの口座に手をつけました。赤ちゃんのときからお祝いやお年玉を積み立てていて、本来は、大学に入ってからの生活費として子どもたちに渡したいと思っていたもの。それを塾代に使ったんです」
長男と長女が通う予備校は月謝制ではなく、ひとつの授業を受けるごとに料金がかかるシステムだ。
「どの授業に申し込むかについては、家族で話し合いました。『日本史は自分の力で頑張れそうだから、受けるのはやめよう』などと相談しながら。ふたりともとても頑張っているからお金を出してあげたいけど、払うことができない。今も胸が痛いです」
緊急事態宣言の解除後、6月になると小学校の授業が再開した。仕事がスタートしてほっとしているが、まだまだ油断はできない。
「第二波がきたら、再び休校になるかもしれません。そうしたら、いよいよほかで働かないと……。長男は、先日、私が近所の薬局で働いている夢を見たそうです。それで泣きそうになって目が覚めたと」
年が明けると、出費はさらに増える。想像するだけで怖いという。
「大学を1校受験するたびに、受験料が必要になります。それがもう、高額なんです。昨年長男が受験したときは、一万円札が飛ぶように消えていきました。その出費が今回はふたり分。受験が終わる頃には、貯蓄はなくなっているんじゃないでしょうか」