話し相手に最新機器を導入
でも章介さんは、自分が何とかしなければと必死だった。その姿に胸を打たれ、明美さんも「やるしかない!」と腹を括ったのだ。まずは地域包括支援センターに相談し、現在、義母は週に3日デイサービスを利用している。昼食と入浴は施設で済ませる。平日の残り2日の昼食は宅配弁当を注文。朝食と夕食、洗濯も、一人分増えただけで大した負担ではないことがわかったと言う。
「ところが、上げ膳据え膳では義母がボケてしまうのではないかという心配が出てきました。実際、何もすることがなくてぼーっとしている様子を何度も目にして。もし認知症を発症してしまったら、介護はさらに大変になります。そこで夫と話し合い、洗濯物を畳むなど、義母に仕事を頼むことにしたのです。義母も役に立てるのは嬉しいと言ってくれました」
ひと安心したのもつかの間。ある日、予定より遅く仕事から帰宅すると、真っ暗な義母の部屋から「助けて~」と声が。義母はベッドから落ちて床に倒れたまま動けなくなっていたのだ。
「本当に申し訳ないことをしました。そんなことがあっても、義母は私に遠慮して、頼み事があっても我慢してしまうんです」
義母は、元気な頃はラジオを聴くのが大好きだったのだが、その楽しみを失ったことがストレスになっていたのだと、暮らしていくうちにわかった。
「問題解決に役立ったのはスマートスピーカーでした。電化製品と連動していて、『電気を消して』『ラジオをつけて』など、声で指示を出すことができるんです。もし義母が『助けて』と言ったら、夫の携帯にメールが送信されるように設定しています。さらに、簡単な会話もできる優れもので、話し相手になると義母も大喜び。同居生活は始まったばかりですが、使えるものは何でも使って、前向きに取り組んでいく覚悟です」