吉永 私も子育てで忙しかった30代の頃は、友達とゆっくり過ごす時間なんてなかった。特に私は、子どもが3人いる人(騎手の吉永正人さん)と結婚したじゃない? そのうえ、夫の仕事の拠点だった茨城県でいきなり暮らすことになって。知り合いが一人もいないなかで地元の魚屋さんとか厩舎の人たちとか、それまでまったく縁がなかった人たちと知り合っていくんだけど、それも一種の友情だよね。今はもうその頃の密な関係ではないけれど、ご縁は確実に私のなかで財産となって残っていると思う。

倍賞 その時々で縁がつながったり、切れたり、それでいいんじゃないかな。出会いによって人は変わっていくからね。

吉永 歳を重ねるなかで、出会ったり離れたりを繰り返しながら、友達として残っていく人がいる。無理に友達を作ろうとすると、なかなかいい関係が生まれないのかもしれないね。出会いを大事にしていれば、いくつになっても、巡り合うべき人が磁石みたいに引き寄せられてくるものだと思う。お店に行って何かを探す、みたいな必死さで友達を探そうとしても見つかるものではない。

倍賞 そうね。友達はお店に売ってないから。

旅行で訪れた京都でポーズをとる二人(写真提供:倍賞さん)

思い出が重なると、共通の土壌が豊かに

倍賞 人生、残り少ない。(笑)

吉永 私たちも歳が歳だから……、

吉永 この貴重な時間がコロナ禍で奪われたことは、非常に悔しいね。

倍賞 本当に! 食事の約束も、旅行の予定もキャンセルしなくちゃいけなかった。でも自粛生活を余儀なくされてから、毎日のようにLINEのやりとりをしてて、関係がかえって濃くなった気がしているの。

吉永 千恵さんが感染したら困る、と思うと、自然と「今どうしてるかな」と気になるのよ。だから「起きてるか?」「生きてますか?」って、つい毎日連絡しちゃう。

倍賞 みっちゃんは、夫よりも私のことを心配してくれる。(笑)

吉永 今朝も夢で、六さんに怒ってた。「あんたさ、千恵さんへの配慮が足りないよ」って。(笑)