上手な墓じまいをするための3つのコツとは?

年をとってなかなか墓参りに行けないという体力的問題。墓の維持に費用がかかるという経済的問題や、墓を放置したままにするのは申し訳ないという精神的負担……。それを解消するのが、墓じまいである。とはいえ、「邪魔だから撤去する」「不便だから移す」では済まないのが墓という存在だ。

「共同墓地や霊園の墓じまいは、実務的には契約の終了ですからそれほど揉めることはありません。実務の問題は、親切な業者や専門家の知恵を借りれば解決できますが、寺の境内にある墓や、菩提寺と檀家の関係の整理には、それなりの根回しとテクニックが必要です」と前出の二村さんは話す。

また、ただ不便だから、面倒だからというだけで墓じまいをしてしまうと、後悔したり、家族や親戚との関係に禍根を残したりすることもあると語る。

「墓じまいをする前に、『自分にとって供養とはどんな意味を持つのか』を考えたいですね。墓を邪魔者扱いせずとも、ちょっとした知恵と工夫で心安らぐ解決法が見つかるものです」墓の存在を重荷に感じる人も多いだろうが、

二村さんによると、上手に折り合いをつけた例もあるという。3つのケースからコツを探ってみよう。

コツその1●親族に託す

祖父母、両親の眠る墓はそのままにして、自分たちは樹木葬にしようと決めた夫婦のケース。墓の近くに住む親族と話し合い、墓じまいはせず託すことにしたという。親族も墓がなくなるのは忍びないと思ったのだろう、できる限り管理してくれることになった。

親族には10万円を渡し、これから先の管理費用に充ててもらうことにした。いわば「供養基金」である。夫婦は、墓に眠る祖父母や両親を分骨する代わりに、墓の前の砂利を一つかみ持ち帰ったという。いずれ樹木葬をするときに、一緒にその砂利を埋めてもらうつもりだが、今は手元供養のつもりで、小さな壺に入れてリビングに置いてある。

「基金を介在させることで、親族との関係もクリアになるし、分骨代わりに砂利を持ち帰るのも賢い。とても合理的ですが、どこか心安らぐ方法でもある。上手な折り合いのつけ方だと思いますね」(二村さん。以下同)