最後に納骨した人の三十三回忌で、終わりにしてもいい
コツその2●きょうだいで共同管理
実家の墓を3人姉妹で共同管理している例もある。ここでも活躍するのが「供養基金」だ。このケースでは、父が供養のためにと次女に託していた100万円を充てた。
3姉妹はそれぞれ遠くに嫁いでおり、実家の墓を誰か一人で継いでいるわけではない。かといって墓じまいする決断もできず、自分たちが生きている間は共同管理することに決めたのだ。期間は25年。1回の墓参りにつき、「基金」から1万円もらうという約束にした。年4回の墓参りを25年、〆て100万円というわけだ。
一人に負担がかかることもなく、それぞれが責任を持って墓と向き合うことで、ある種の達成感も得られるようだ。「お寺の管理する墓でも納骨堂でも、最近は33年をめどに合祀にするようになってきました。お墓の寿命として、最後に納骨した人の三十三回忌をもって終わりにしてもいいのではないでしょうか。寺によっては、管理費の納入が3年間ない場合は合祀して墓を撤去するというところも。あえて墓じまいする必要はないかもしれませんね」
コツその3●墓でふるさとづくり
二村さん自身、生家の墓の墓じまいを考えたことがあるという。実家は遠方で、帰省することもなくなったが、代々が眠る墓だけはある。「次の世代のことを考えると、やっぱり田舎の墓は遠すぎるし不便だと思って、息子に相談してみたのです。すると、田舎の墓は残してほしいと言うんですよ。意外でしたね」
東京で生まれ育った息子は、「僕もふるさとがほしい」と言った。親が実家の墓に入ってくれたら、自分にも郷里ができると考えたのだという。「目からウロコです。墓の効用はこんなところにもあったのかと。遠くて不便だからこそ、墓参りそのものが特別なものになる。墓との付き合い方は損得や利便性ではなく、そこに日常にはない価値をいかに見つけられるかがもっとも大事なのです」
「墓問題」に直面したとき、どのような判断をくだすのか。経済的効率や、体力的負担の軽減のみにとらわれることなく、後々悔いが残らないような決断をしたいものだ。そのためには、日頃の生き方や価値観までが問われているように思えてくる。