撮影:山形屋平兵衛
 

亀屋則克
浜土産

清々しい檜葉が添う
大きなハマグリ。
浜辺から届いたかのような
その貝の中身は、
涼やかな琥珀糖

籠に入った姿を初めて見る人は、これがお菓子なのかと驚かれることでしょう。ぴったりと閉じたハマグリの殻にそっと爪を入れて開くと、中にはみっしり黄色の琥珀糖(こはくとう)。琥珀糖とは寒天を煮溶かし、そこに砂糖を加えて煮詰め、冷やし固めたものです。そしてその真ん中に浜納豆が一つ入っています。夏場にしか作らない菓子で、よく冷やしていただけば、味わいはさらに増します。外した片方の貝殻をスプーンのように使って、琥珀糖をすくってたべるのが通のいただき方。固めでぷりぷりとした琥珀糖の甘さと、浜納豆の味噌の風味があいまって独特の味が楽しめます。

 

二枚のハマグリの殻の内側にどのように琥珀糖を詰めるのかはこの店だけの秘伝。現在三代目が店主ですが、四代目の息子さんがしっかりと技を引き継ぎ活躍しているのも嬉しい限りです。