メロディ・ガルドー サンセット・イン・ザ・ブルー ユニバーサル 2860円

 

入院中に出会った音楽療法をきっかけに

メロディ・ガルドーの歌声には、憂いを含んだ優しさがある。メロディがデビューしたのは酷い交通事故にあった後で杖とサングラスが手放せず、ツアーの荷物は医薬品だらけで実に大変そうだった。杖を片手にステージに立つ金髪の美女が歌う悲しい歌は、一度聴いたら忘れられないものだった。彼女が当時を振り返って次のように語った。
「脊髄に損傷を負ったので、休み休みにしか動けない。入院中に音楽療法に出会い、作詞作曲することを覚えてから、次々に歌が生まれた。そんなポンコツの私がデビューすることになって、不思議だったわ」

筆者にとってなにより不思議だったのは、彼女が音楽活動を続けるなかで徐々に快復したことだ。政治的にストレスを感じるアメリカからヨーロッパの気候の良い場所に移り住み、自己肯定感が強くなるにつれて、彼女の人生も順調になっていった。音楽性も、デビュー時のダークな翳りは見られなくなり、第4作《カレンシー・オブ・マン~出逢いの記憶~》では社会派シンガー・ソングライターに変身した。

そのアルバムから5年を経た今作《サンセット・イン・ザ・ブルー》では、今住むパリの水に磨かれて、より美しく、包容力と愛に満ちた歌の数々を届けている。ラリー・クラインのプロデュースの下、メロディがスティングとのデュエット曲〈リトル・サムシング〉を楽しげに歌い、パリを拠点にさまざまな国の音楽家と交流していることが伝わってくるアルバムでもあった。ドイツのフリューゲルホーン奏者、ティル・ブレナーも参加。彼女得意のインターネットを駆使し世界から弦楽器奏者の参加を募り、素敵な若手ストリングスが組まれている。その彼らの淡いストリングスをバックに、ヘンリー・マンシーニ作曲〈ムーン・リヴァー〉を素直に歌い、豊かな女性性を感じさせた今作。メロディ・ガルドー、これからも奇跡に満ちた日々を歩いていってほしい。

メロディ・ガルドー
サンセット・イン・ザ・ブルー
ユニバーサル 2860円