「息子には、現金よりも電子マネーで送金することが多いのですが、連絡があるのは《お金送って》というときばかりで、数日連絡がなく、私から《生きているの》とメッセージを送っても、それに対しても既読すらつかない(苦笑)」
そこで小林さんが考えた裏技は、スマホで電気の使用量が逐一わかるアプリ。そのデータを使って、「とりあえず生きている」「とりあえず家には帰っている」と動向をコッソリ探っているのだという。
「1度、息子に『電気つけっぱなしで寝たやろ?』と言うと、なぜわかったのかと尋ねられ、種明かしをすると引かれました(笑)。こっちはコロナがどう拡大するかわからずやきもきしているのに、息子は新生活が楽しく、親どころではないのでしょう。息子にはいろいろ言ってはいけないと思うのですが、ついつい気になって……」
母の心配の種は尽きない。
【ルポ】『会えない』ゆえにわだかまりが生じて
【1】「町内で感染者が出ていないから、絶対に帰って来るな」と言われ…
【2】リモート授業で上京できない息子。東京の家賃を払い続ける親
【3】発熱も事後報告。単身赴任の夫に1年で3度しか会えていない
【4】施設の母との面会はたった5分。共同作業にイライラ
樋田敦子
フリーランスライター
東京生まれ。明治大学法学部卒業後、新聞記者に。日航機墜落事故、阪神淡路大震災など、おもに事件事故報道の現場に立った。10年の記者生活を経てフリーランスに。「婦人公論」「ビジネスインサイダー」「弁護士ドッドコム」など多くの雑誌やネットメディアで女性や子どもたちの問題をテーマに取材執筆を行うほか、テレビやラジオの番組構成も担当。著書に『東大を出たあの子は幸せになったのか』、『女性と子どもの貧困』など。