「みんな、自分の思うように生きなくてはいけないんです。それはワガママとはまったく違う。」(尾木さん)

子育ての失敗も包み隠さずに

村上 初めての子育てをするなかで、「この子をしっかり育て、正しく導かなくちゃ」と、プレッシャーを常に感じてしまって。小学生の頃、時間通りに登校できなくなったときも、ちゃんと行かせようとばかりしていました。「いい大学に行って、いい企業に就職して」というのが彼が幸せになる道だと思い込んでいたんです。

今、その息子は大学を中退し、自分の選んだ道に進み、自活しています。うちに帰ってくるときはいつも笑顔で、幸せそう。それを見て、私の考えは間違いだった、息子に申し訳なかったなと思うんです。

尾木 それはすごいことに気づかれましたね。

村上 今、娘は難しい年頃です。ツンツン、メソメソしているのを見ると問い詰めたくなるけど、そこは息子のときからの反省があるので、距離を置いて見守る。落ち着いたなと思うときに、「何かつらいことでもあった?」と聞いてみて、話してくれなかったら、それ以上は追及しないようにしています。すると彼女のほうから「私、今、反抗期なんだ」と言ってきて。

尾木 ほ~お。

村上 「ママのこと、大っ嫌いなんだから」と言われまして(笑)。正直ガーンときました。それでも「自分で考えて進もうとしているのだろう」という気持ちで見守っています。そんな自分の経験や、『ママ☆深夜便』で、いろいろな方の話を聞いて思うのは、親のできることって、「この子が向かいたいのはどの方向だろう」と考え、子どもの生きる力を信じてあげることかな、と。

尾木 村上さん、NHKのアナウンサーのお立場で、今みたいに、ご自分の子育ての失敗も包み隠さずに語られるでしょ。そうしたところも含めて、聴取者の皆さんとともに生きておられるんだなと感じました。

村上 わぁ、嬉しいです。コロナ禍のこの状況になって、人と会いにくくなりましたが、ラジオは声でつながることができるメディア。だからこそ、今、心が弱っている人、つらいことがある人、どんな人も排除したくないし、その声を少しでも多く受け止めたいと思うんです。