公園の芝生の上で食べた昼ご飯

尾木 その上で、コロナ時代を生き抜く力をつけてほしい。それには、頑張りすぎないことが大事。やりたくもないことを無理に頑張りすぎると、ポキンと折れちゃうもの。あくまでも自分の意思を大事にし、物事を他人軸ではなく、《自分軸》で考えるの。例えば芸能人って、意外と他人軸で考える方が多いんですよ。番組に求められている役割とか、自分のポジションではどんな発言が受けるかとか──。

重松 求められていることに応えようとしますね。

尾木 そう。それは他人軸なんです。自分の意思がどこかに吹き飛んじゃっている。それでどんなに知名度が上がっても、何年かたてば空虚な感じになって、心がやられてしまうのではないかしら。

重松 周りに求められている役を果たすことに疲れて。

尾木 みんな、自分の思うように生きなくてはいけないんです。それはワガママとはまったく違う。別の言葉に置き換えると、「ありのままに、今を輝こう」ということかな。「ありのままだと、うちの子、勉強しないままです」とよくお母さんから反論があるけど(笑)、ただダラけているだけの「ありのまま」じゃない。自分らしさを大事にして輝いているかどうか、そういう時間をたくさんもとうよ、ということなんです。

重松 それが大事ですね。

村上 『ママ☆深夜便』に、パパからいただいたメールがあります。在宅ワーク中に、小学校1年の息子さんがまとわりついて仕事が思うように進まない。だけど、毎日の昼ご飯をパパとママ、息子さんの3人で、近所の公園の芝生の上で食べたことは、息子が忘れてしまっても、自分は死ぬまで覚えているだろうと。

重松 昼間の息子さんの姿を見ることって、あまりないですものね。

尾木 言い古された言葉ですけど、コロナ禍というピンチもチャンスになると思うんですよ。

村上 厳しい時代でギスギスし心が疲れた方たちに、ほっと一息ついて気持ちを整え、明日も頑張ろうと思っていただきたい。そんな希望を私も深夜のラジオで発信できたらと思います。
 

*この鼎談は9月29日に収録しました。