再び就職するも心と体が悲鳴をあげる
離婚後は実家の世話になったが、出戻りには居心地が悪い。特に父は厳しくて、友だちと電話していると、「誰の金で電話をかけられると思ってるんだ!」と怒鳴る。早く家を出て自分で稼がなくては。ハローワークに相談に行くと、「教員採用試験を受け直しては」とアドバイスされる。猛勉強の末に合格し、晴れてひとり暮らしを始めた。
最初の赴任先は穏やかな学校で、順調だった。だが次の学校は荒れていたうえ、担任と専門教科に加え専門外も教えねばならず、主任の仕事も掛け持ちに。過労で眠れなくなり、食事もとれず、集中力を欠いてミスを連発。お腹の調子が悪いと内科へ行った際、涙が止まらなくなった私を診て、医師が精神科を紹介してくれた。
更年期障害だろうとたかをくくっていたら、うつ病との診断。テレビも観られず、新聞も本も読めず、死にたいと願う。結局、2年の休職を余儀なくされた。
復職後は責任の軽い仕事を任され、徐々に心身ともに健康を取り戻した。友人から紹介されたフィットネスクラブに通い出し、調子が戻ったかに思えた。
そんな頃、友人に保険貧乏だと言われた私は、ファイナンシャルプランナーに保険の見直しを相談し、がん保険の解約を勧められる。年ごとに新しい特約がついて高くなるばかりだったから、素直に指定された保険を解約した。
ところが、何に呪われているのだろう。数ヵ月後に私はがんの宣告を受ける。長らくかけてきた保険を解約したとたん、がんになるなんて、ツイてないにもほどがある。
手術は成功し、今のところ再発もせず、半年に1度検査を受けている。こうして振り返ってみると、本当に私の人生ツイてない。この先、少しくらいはいいことがあっても、バチは当たらないのではないかと思っている。
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