全国のスーパー銭湯の大広間をお客さんでいっぱいにする、ムード歌謡グループ「純烈」。そのリーダーでプロデュースも担当する酒井一圭さんが、悩める淑女に寄り添います!?(撮影=水野昭子 イラスト=風間勇人)
《 お悩み 》
「延命治療を拒否したけれど……」
末期の胃がんだった母。担当医から「延命治療をすると肋骨が折れる。たとえ手術をしても1ヵ月で亡くなる人がいる」と告げられました。痛い思いはさせたくないと、私ひとりで「延命治療も手術も受けない」と決断。知的障害をもつ姉には相談できないし、親族に言っても面倒になるだけと思ったからです。けれど「これでよかったのかな?」と、母の死後十数年経っても答えが出ません。 (64歳・ パート)
《 酒井さんの解答 》
自問自答にも意味がある
これでよかったんですよ。でも、これからもずっと自問自答は繰り返されるんじゃないかな。僕には、妹と知的障害をもつ弟がいる。あなたと同じ立場になったら、しっかり者の妹には相談できるけれど、弟にはできない。やっぱり僕が長男として決断するんだろうな。
なんというか、お母さんは病床にあって、すべてをあなたに委ねていたと思う。だからもしお母さんが延命治療を希望していたとしたら、あなたはそれに気づいたはずなんだよ。でも実際、“どうしたいか”についてはお母さん本人もわからなかったんじゃないかな。
「十数年経っても答えが出ない」というあなたの悩みを聞くと、お母さんはあなたに自分の存在を忘れてほしくなかったんだろうな、とか思っちゃうんだよね。そういう亡くなり方をしたことで、ずっとあなたの心に住み続けることができるっていうかさ。だから、その自問自答は悪いことじゃないし、意味があるんだよ。
僕も、亡くなった親父に対する心残りがある。ステージに立って、親父が亡くなった後に作った「言葉足らずのメロディ」という曲を、「なんにもできなかったな」と思いながら毎回歌ってますよ。