「親の理解がないと治療も支援も進まないし、親による虐待などの問題が起こることもある。」(岩波さん)

 

「育て方が悪い」と言われる母親たち

岩波 子どもの頃の親子関係は、どのような感じでしたか?

小島 たぶん育てにくい子どもだったのでしょうね。母は昭和12年生まれなので、発達障害の知識が当然なく、どうして慶子はひねくれているのか、普通じゃないのかと嘆き、声を荒らげることもありましたから。今や80歳を過ぎていますが、昨年私が出演した発達障害をテーマにした番組を見て、「慶子、何か障害があったの?」って(笑)。でも、障害の内容はあまり理解できていないようです。

沖田 私は3人きょうだいなのですが、5歳下の弟も私と同じ障害があり、いじめを受けて不登校でした。だから母は、「ヘンな子がいる」ということでママ友から仲間はずれにされ、夫からは「お前の育て方が悪い」と言われる。味方がいなかったせいか、占いにはまっていました。(笑)

小島 私の母も、幻想の世界に逃げているところはありましたね。自分の見たいものだけを見たいっていう。だから、私が子どもの頃、すでに発達障害の概念が一般的であったとしても、母は娘がそうであるということは受け入れなかった気がします。

岩波 親の理解がないと治療も支援も進まないし、親による虐待などの問題が起こることもある。今後の課題ですね。

小島 そのためにも、偏見を減らすことが大事です。

岩波 沖田さんのお母さんは、早い段階で診察を受けさせてくれましたね。

沖田 そうですね。小学生でLDの診断が下りた後、中学生の時にも弟と一緒に連れて行かれたことがありました。正確には病院ではなくて、たまたまその時、富山大学の学生さんたちが発達障害の人の脳波のサンプルを集めるというようなことをやっていて、検査を受けたんです。今と比べると判断基準もかなり曖昧だったとは思うのですが、アスペルガー症候群ではないかと言われました。親はわけのわからないものに名前がついてホッとしていたようです。