10人以上の子どもたちが毎日、道路で遊ぶ

一方、日々の生活に慣れていくにつれ、困った問題が起きていた。子どもたちの遊び声がすさまじく、しかも長時間に及ぶことだ。12戸の家が取り囲む幅6メートルほどの私道で、雨が降らなければ毎日、午前と夕方の2時間ずつ、10人以上の子どもたちが遊ぶ。

小さな子どもたちは、泣いたり叫んだりの大騒ぎ。プラスチックカーをガーガーと音を立てて走らせる。ゴムボールが飛んでくる。松本さん宅の庭に入り、丹精込めて育てた花を引き抜くことも。

その間、母親たちは井戸端会議をしていて子どもに注意もせず無関心。謝罪の言葉はなかった。「おばちゃんが大事に育てているお花だから、抜くのはやめようね」と子どもたちになぜ言わないのだろうか。松本さんは「常識がないな」と思ったという。

今、こういった行為が社会問題になりつつある。「道路族」と言われ、まるで公園で遊ぶように道路で遊び、騒音やものを壊すなどの迷惑をかける子どもとその親たち。昭和ならいざ知らず、車が増えた現在は危険を伴い、幼い子の交通事故も発生している。

「徒歩2分のところに公園があるのに、なぜ公園で遊ばないのだろう」と松本さんは疑問に思う。

「密集地の3階建てのわが家全体に遊び声が反響するのです。窓を開けて風が抜けていくのが好きだから、家を購入してそれを楽しみにしていたのに、とても開けていられません。息子は中学受験に備えて勉強していましたが、うるさくて集中できない。仕方なく窓を閉めて暮らすようになりました」

さらに大人たちまでが、道路にブルーシートを敷いて宴会をするようになっていった。