騒音問題はもはや集団いじめに

代理人でもある弁護士の豊福誠二さんが話す。

「騒音問題はよくある近所トラブルですが、証拠の動画を見て、いい大人がこんなに子どもじみた嫌がらせをするものかと驚きました。近隣住民による大人のいじめです。

本来は、近隣トラブルは裁判よりも話し合いで解決するほうがいいのですが、すでに話し合いで解決できる段階ではなかった。裁判で解決しようという松本さんの決意は固く、訴訟を決めました」

裁判は、民事と刑事の両方で行われた。17年、嫌がらせを即刻やめるよう仮処分申立てを申請し、病院への通院費などの損害賠償を求めて民事提訴。裁判所は人格権侵害があったことを認め、住民に対しにらみつけてはいけないなどの禁止事項を言い渡している。

また同年、警察の助言もあり、嫌がらせの中心人物の男性を、つきまとい・威嚇行為の容疑で刑事告訴。男性は迷惑行為防止条例違反容疑で書類送検され、略式起訴されて罰金30万円を科せられた。

そして最初の民事訴訟は19年より被告6人に対して賠償金1332万円を求めて現在も係争中だ。

裁判の過程でわかったことがある。住民たちはグループLINEで連絡を取りながら、女性4人が松本さんを見張り、男性3人が直接的な嫌がらせをしていたのだ。

ある女性の日記には「松本さんのことがストレスになり、子どもに手をあげた」「子どもに無理に道路で遊ばせた」などの記述が見られ、また別の男性は「松本さんの笑い声が不愉快だ」と証言していた。

「道路遊びに苦情を言ったことで私はすごく恨まれていたのです。あの人たちは道路で子どもを遊ばせるつもりで家を買っていたこともわかりました。嫌がらせに発展したのは、道路遊びや道路での宴会にうちが参加せず、騒ぐのをやめてほしいと言ったことで、思い通りにならず、とても悔しかったからだと思います」(松本さん)