人でごった返す表参道(写真提供◎写真AC)

田舎者だと思われたくない!

高校生だったわたしは緊張で、うまくシャワー台の椅子に座ることができなかったし、うまく頭を椅子に落とせなかった。

「このオシャレ過ぎる奇抜な髪のお兄さんに、田舎者だと思われたくない!」 と、お兄さんの手に頭を置くことを躊躇して、やたら腹筋を使いながら同じ姿勢を保っていた。鏡前にきて、お兄さんは、言った。

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「可愛いベストですね」

わたしは、東京も行くのだから、とにかくお洒落だった友人から買い取ったヒステリックグラマーの変わったベストを着ていた。野沢直子さんが当時よく、ヒステリックグラマーを着ていたのだ。

「ありがとうございます」

わたしは嬉しかった。

「最先端、ですね」
「いやあ」
「髪、どうしましょうか?」
「えーと、えー」

「お任せで」と言いたかったが緊張で言葉が出てこなかった。お任せで、なんて大人の都会の台詞だから。

「もう少し、後ろ短めにして、逆に横はのこして、丸みをもたせると、お姉さん似合うと思いますねえ」

よくわからないが、とてもお洒落になりそうだ。

「お願いします」

わたしは、目の前に置かれた雑誌を手に取った。外国人モデルが表紙の、わたしが読むところのまったくない本だったが、非日常を感じさせてくれた。

 

高校時代の青木さやかさん