妻の出張中、上京した義母と衝突して

義理の親に子どもの面倒をみてもらっている側が、不満を爆発させるケースもある。
印刷会社に勤める隆太さん(37歳)は、4歳になる娘が生まれたときから子育てに積極的にかかわってきた“イクメン”だ。流通関係に勤める妻は出産で1年仕事を休んだが、隆太さんも、社内では男性初となる3ヵ月の育児休業をとった。

職場復帰後の妻が働くのは多忙な部署で、妻自身、子どもはかわいいけれど、もっと仕事をしたいというタイプ。一方の隆太さんは、もともと子どもの面倒をみるのが嫌いではなく、家事もこなせる。というわけで、娘を保育園に預けるようになってからは、送り迎え、夕食、入浴、寝かしつけを、隆太さんが中心になってやってきた。

「朝9時半に保育園に娘を預けて10時に出社、夕方6時半までに保育園に迎えにいく。妻は1、2ヵ月に一度は海外出張があって、1週間くらい家にいないんですね。その期間もひとりで乗り切りながら、何とかやっていましたが、次第に立ちゆかなくなってきて」

そこで、妻の出張があるときは、地方に住む妻の母が上京、助けてもらうことに。義母は出産前後も手伝いにきていたし、何より孫のそばにいられることを喜んだ。

「お義母さんは上京すると1ヵ月くらい滞在するんですが、一緒にいると、僕のやり方に不満が出てくるみたいで。最初の衝突はミルクの飲ませ方でした。そのとき僕は、仕事の資料に目を通しながら娘にミルクを飲ませていたんです。会社を定時に出るため、仕事を持ち帰っていましたから。

でも、それがお義母さんには気に食わなかった。『ミルクを飲ませるときは、赤ちゃんの目を見ながらじゃないとダメ』と、僕にではなく妻に言ったんです。それを妻から聞かされて、『だって、あんたがやらないから、忙しいなか、僕が飲ませてるんじゃないの』とつい妻に反論。そのやりとりを見てお義母さんは、またまた不快感をあらわに。『うちの娘にあんなにワーワー言わなくても』とでも思ったんでしょう」

義母のチェックはまだある。娘が食事をしていると、「パパが注意しないから、ちゃんと椅子に座っていられないし、お行儀が悪いのね」。隆太さんが娘をプールに連れて行くと、「目を離さずに、ちゃんと見てくれているのかしら」と、これも妻に意見する。

「僕の子育てを疑っているんです」と隆太さん。

「それに加えて、お義母さんに何もかもやらせては申し訳ないと思い、僕がさっさと食器を洗ったり、部屋を片付けたりするのも、嫌みととられているみたい」

妻が出張中のある日曜の夜、義母と一緒にいるのも気詰まりで、隆太さんはしばらく外出した。帰宅してみると不穏な空気。聞けば、娘が「パパがいない」と大泣きし、義母が用意した食事にもいっさい口をつけないのだとか。「パパのがいい〜」とせがむ娘に、隆太さんがあり合わせの材料でパパッと料理して出すと、娘は待ってましたとばかりに一心不乱に食べる。それを見て義母は号泣。

「私なんかが子守に来なくてもいいんでしょ!」

隆太さんは、ほとほと困り果てた。こうした衝突が重なるうち、義母に来てもらうのが重荷になって、ひとりでやってみようと決意。地域の子育て支援システムを利用すれば保育園のお迎えや預かりをお願いできるし、ベビーシッターを頼んでもいい。いざというときは、近所のママ友もいる。

「実際にそうしてみたら、すごく楽だった。シッターさんは育児のプロだから安心して任せられるし、お義母さんとの感情の行き違いにイライラすることもない。お金はかかるけれど、毎回負担していたお義母さんの飛行機代を考えても、こっちのほうがコストパフォーマンスはいいし」

こうして義母が上京し長期滞在することはなくなった。ただ、孫娘と過ごす機会が少なくなったのはかわいそうだと隆太さんも思う。

「今は、スカイプを使い、娘とお義母さんとがおしゃべりできるようにしています」