孫が生まれると、義理の家族とのかかわり方も変わるもの。孫には惜しみない愛情を注ぎたい祖父母。子育ての助けはほしいが、過干渉は拒みたい嫁や婿。さらには、父方と母方、双方のじいじ・ばあばの微妙なパワーバランスもあったりして。孫がらみのあれこれをきっかけに、義理の関係がギクシャクすることも珍しくない──

嫁からの“お迎え”要請はメールで

共働きの家庭では、子育てで義父母の助けを求めることも多い。祖父母にとって、孫とのかかわりは嬉しいものだ。ただ、負担が増えてくると事情は違う。孫の親が、いつも「当然」とばかりに頼ってくると不満がくすぶり始めるし、それが実の娘や息子でなく、嫁や婿だとしたら、なおさら心中穏やかではない。

光枝さん(71歳)の場合がそうだ。光枝さんの息子は、実家から電車でひと駅隣の街に、不動産会社で事務をする妻と、5歳の男の子の3人で暮らしている。

「夫が退職して以来、一日中、老夫婦が顔をつきあわせている生活でしたから、孫が生まれると嬉しくて、息子一家が遊びに来るのは楽しみでした」

孫が保育園に行くようになると、嫁から「仕事で遅くなるので、代わりに保育園に迎えに行ってくれないか」「子どもが熱を出したので、夜まで預かってほしい」としばしば頼まれるようになる。

最初のうちは気軽に引き受けていた。けれども、それが月に4回、5回となるうちに、光枝さんは疲れを感じ始めた。

「子どもはよく動くけど、とくにうちの孫はやんちゃで絶えず走り回っている。半日も預かると、こっちはトシだし、ヘトヘト。孫がアザやたんこぶをつくることもあります。男の子はそんなの普通だと思うけど、嫁は『気をつけて見ていてほしい』と言ってくる。だんだんイラッとくるようになって。私が食べさせたものでおなかでもこわしたら、何を言われるかわからないので、冷たいものは避けたり。体力だけじゃなく、そりゃあ気もつかいます」

そんなある日、“事件”は起きた。嫁から「保育園のお迎えに間に合わないのでお願い」というメールがきて、孫を迎えに行ったその帰り。突然駆け出した孫を、「危ない」と追いかけようとして、光枝さんは転んでしまった。病院で診てもらうと、左手の中指と小指にヒビが入っているとのこと。

「孫は無事。私も大ケガじゃなくてホッとしました。ところが、電話で事情を伝えたあと、うちに来た嫁が開口一番、『うちの子は大丈夫?』。私のケガを気にかける様子も、申し訳なさそうなそぶりもなし。さすがの私も頭にきて、ピシャリ、言いましたよ。『子どもが心配なのはわかるけど、それはないんじゃないの!?』って」

光枝さんの剣幕のせいか、しばらくは嫁から孫のことを頼まれることはなかったが、それも1ヵ月だけ。「お願い」のメールや電話がまた頻繁に来るようになった。

光枝さんはこれまでと対応を変えることにした。「友達と約束がある」とキッパリと断ることもあれば、あえてメールを無視することも。「気がつかなくて」「携帯電話を家に置いて外出中だった」と、時間がずいぶんたってから折り返す。光枝さんなりの抵抗だ。

「本当に困っているときもあるだろうし、あまり嫁に邪険にしていると孫に会えなくなるかもしれない。だから3回に1回は頼みをきくようにしていますけどね」

嫁は、光枝さんの“造反”に気づいているはず。関係は少しギスギスしたままだが、何でも引き受けてストレスをためこむより、今のほうがずっと気持ちはスッキリ、と光枝さんは言う。