義母のチェックはまだある。娘が食事をしていると、「パパが注意しないから、ちゃんと椅子に座っていられないし、お行儀が悪いのね」。隆太さんが娘をプールに連れて行くと、「目を離さずに、ちゃんと見てくれているのかしら」と、これも妻に意見する。

「僕の子育てを疑っているんです」と隆太さん。

「それに加えて、お義母さんに何もかもやらせては申し訳ないと思い、僕がさっさと食器を洗ったり、部屋を片付けたりするのも、嫌みととられているみたい」

妻が出張中のある日曜の夜、義母と一緒にいるのも気詰まりで、隆太さんはしばらく外出した。帰宅してみると不穏な空気。聞けば、娘が「パパがいない」と大泣きし、義母が用意した食事にもいっさい口をつけないのだとか。「パパのがいい〜」とせがむ娘に、隆太さんがあり合わせの材料でパパッと料理して出すと、娘は待ってましたとばかりに一心不乱に食べる。それを見て義母は号泣。

「私なんかが子守に来なくてもいいんでしょ!」

隆太さんは、ほとほと困り果てた。こうした衝突が重なるうち、義母に来てもらうのが重荷になって、ひとりでやってみようと決意。地域の子育て支援システムを利用すれば保育園のお迎えや預かりをお願いできるし、ベビーシッターを頼んでもいい。いざというときは、近所のママ友もいる。

「実際にそうしてみたら、すごく楽だった。シッターさんは育児のプロだから安心して任せられるし、お義母さんとの感情の行き違いにイライラすることもない。お金はかかるけれど、毎回負担していたお義母さんの飛行機代を考えても、こっちのほうがコストパフォーマンスはいいし」

こうして義母が上京し長期滞在することはなくなった。ただ、孫娘と過ごす機会が少なくなったのはかわいそうだと隆太さんも思う。

「今は、スカイプを使い、娘とお義母さんとがおしゃべりできるようにしています」