母が倒れ、自宅介護が始まって
そんなある日、母が脳梗塞で倒れたのです。退院後、自宅介護を余儀なくされましたが、40過ぎまで身の回りのことを母に頼っていた弟に介護などできるはずもなく、私は仕事をしながら毎日実家に通いました。
母は寝たきりで口もきけず、おむつ替え、食事の世話も私任せ。母を好きになることができない私の心の中では、憎しみと哀れみがせめぎ合っていました。弟は離れで気楽な暮らしを続け、見て見ぬふりです。1年後に介護施設が見つかり、母を入所させました。
私の家の大家さんが、子連れで離婚した自分の娘と弟の見合い話を持ちかけてきたのはその頃です。乗り気ではなかったものの、孫が不憫だと涙ぐむのにほだされ、苦労している娘さんなら頼りない弟を支えてくれるだろうと思って承諾しました。でも、この選択が大きな間違いだったのです。
半年後、二人の結婚が決まった際、弟は私が預かっていた母の通帳を渡せと言い出しました。500万円ほど預金がありましたが、弟が家を継ぐのだからと思い通帳を渡したのです。
すると、「彼女が結婚式を挙げたいと言うから100万円使う」と言われてびっくり。弟は42歳、相手は40歳の子持ち。まさか結婚式を挙げるなんて。しかも母の預金に手をつけるとは。私が「身内だけで質素にしたら?」と言ったのが、義妹の機嫌を損ねたのでしょう。式に呼ばれた私は車椅子で参列した母の介護にかかりきり。一人だけ疎外された形でした。