テントウムシの帽子をかぶったムギちゃん。顔の部分はグレー、羽根は茶色の毛でできている

必要な量はラーメンどんぶり一杯分くらい

「たまたま、うちの3匹は耳がぺたんとして頭がまん丸なスコティッシュフォールドという種類。立ち耳の猫よりも、帽子がかぶせやすかったんですね」(ひろみさん)

また猫たちの性格なのか、自分の毛が原材料で違和感がないためか、全員意外とすんなり帽子をかぶってくれたそう。実際、わが家の猫に抜け毛帽子(といっても技術がないので河童のお皿みたいなもの)をのせてみたが、しばらく気が付かなかった。

しかし同時に、春の換毛期といえどもブラッシングで集まる毛はそれほど多くないことも実感した。シルクハットや野球帽、節分のオニ、折り紙風のカブトなど、2人がこれまでインスタや写真集で発表した160個以上もの帽子の材料は、どうやって調達したのだろう。

「実は一度作ったものをほぐして、何度もリサイクルしているんです」とひろみさん。シンプルなどんぐり帽子であれば、必要な量はラーメンどんぶり一杯分くらい。その毛をほぐし、少しずつ足して団子状に丸めたら、くぼみを作って頭が入るようにする。最近人気のフェルト手芸のように毛同士を強くからめて固めたりはしないので、優しく手でほぐせば元に戻るのだという。

そうして何度も楽しむためには、ある程度たまった毛を猫用シャンプーで洗い、洗濯ネットに入れて天日で干して保存する。山崎家では、防虫効果のある食パン用の桐の箱に3匹(色)分をそれぞれ収納しているそうだ。

ウシの帽子をかぶったマルちゃん。角は茶色、顔は白、耳・目・鼻の穴はグレーの毛で