山崎良さん・ひろみさん夫妻作の「抜け毛帽子」をかぶったムギちゃん。これはツイストキャンディ柄
誰かと集まったり、外出もままならない日々が続くコロナ禍の日々……。お金をかけず、ちょっとしたアイデアで日常に風穴をあけられたら、きっと楽しいはず。それを実践している人たちに話を聞いてみた。2組目は「山崎ひろみさん&良さん夫妻」。「抜け毛帽子」の写真をインスタグラムに投稿して話題になっています。(取材・文=山田真理)

これを猫の頭にのせてみたら……

同じ手作り派でも、「材料費は完全にタダ。しかも、本来は迷惑なもの、ゴミ扱いされていたもので楽しんでいます」と教えてくれたのは、東京都在住の山崎ひろみさん(44歳)と良さん(47歳)夫妻(崎はたつさき)。材料は、なんと3匹の飼い猫のブラッシングで抜けた毛だ。それでいろいろな形を作り、猫たちにかぶせた「抜け毛帽子」の写真をSNSに投稿している。

うちにも2匹の猫がいるが、抜け毛はせいぜいボールのように丸めて猫に遊ばせるくらい。掃除は大変だし服にはつくし、どちらかといえば厄介なものだ。それを使って「猫のかぶりもの」を作ろうと2人が思いついたのは、トランプ前米大統領がきっかけだったという。

「5年前の大統領選挙のとき、トランプ氏の個性的な髪形を、猫の頭に抜け毛をのせて表す『トランプ・ユア・キャット』という遊びがインスタグラムで流行っていたんです」(良さん)。そこで山崎家の茶色い猫の頭に抜け毛をのせてみた姿を良さんが撮影して投稿すると、海外を中心に驚くほどの反響が届いたそうだ。

「その後も、リーゼントやアフロのような髪形を作って遊んでいました。そのためには抜け毛のストックが必要だったので、ブラッシングのたびに『抜け毛貯金』として集めてリビングの隅っこに積み上げていったんです」(ひろみさん)。茶・白・サバトラ、3匹ぶんのかたまりがタワーのような形になったとき、2人の脳裏にふと、「これを帽子にして猫の頭にのせてみたら……」という考えが浮かんでしまった。