「プロが掃除すると、こんなにピカピカになるんや!」

気にかかっていたのは、3年前にリフォームした風呂場の掃除だ。最新の循環式浴槽を入れた風呂場を見たとき、うっとりして「きれいな状態を保ちたい!」と思ったが、その決意は長く続かなかった。

後になってわかったことだが、循環式浴槽の内部を掃除するには分解が必要で、素人にはとても手が出せない複雑な構造だった。そして、カビが生えやすい天井を掃除したくても、小柄な聡子さんは脚立を使わないと手が届かない。

「やってみたら怖くて、困ったなあと。息子らに言っても知らんふりで手伝ってもくれないし……。それで、A社の担当者に相談してみたんです」

すると、浴槽と浴槽内部のクリーニングサービスを紹介された。費用は2万4000円と聞いてやや迷ったが、聡子さんは「自分のための買い物もめったにしないし、いまの私には家事をラクにするほうが大事」と申し込んだ。

清掃当日、作業担当者が2人やってきて、浴槽の部品を分解し、天井からパイプの中まで3時間かけて丁寧に清掃してくれた。

「その晩お風呂に入ったら、すごく気分がよかったんです。タイルの隙間まで真っ白で、『プロが掃除すると、こんなにピカピカになるんや!』と驚きました。きれいな状態を保ちたくて、自分でも毎日掃除はするけれど、クリーニングを半年に1回頼んでいます」

大掛かりな家事に限り業者に依頼している聡子さんだが、外注すれば、それなりにお金はかかる。ただ、もう夫に相談する必要もないし、息子たちは家事をいっさいしない分、すべて聡子さんに任せてくれている。

いま検討しているのは、網戸の張り替えだ。「シルバー人材センターに頼めば500円でやってもらえるよ」と友人から聞いた。いっぽうで料理や買い物などは体が動く限りはやり続けたい、と聡子さん。

「料理は認知症予防にもなる気がするし、歩いて3分のところにスーパーがあって、いまのところ不便もないしね。でも、年齢を重ねればこの先のことはわからない。お金を出しても人の手を借りたいと思うことが出てきたら、また頼みたいと思っています。

後編●「味にうるさい両親のために、出張シェフサービス。危険を感じ、犬の散歩を依頼」