学校や先生や地域に育ててもらって、今の僕がある

武井 この仕事をはじめてまだ7年ですが、なんだかんだ楽しいです。自分でやりたい道をイメージして、そのための能力を培って、たくさんの人に楽しんでもらう。それが実現できるわけじゃないですか、われわれの仕事って。

清水 こんなに一流の人たちに会える職場は、そうはないしね。

杉本 半ば強引に引き入れられた世界だけど、私も今はここに来てよかったなと感じます。

武井 今日みたいに、おしゃべりする仕事も、僕は大好きですね。

杉本 さっきの話を聞いても、すごく勉強家よね。

武井 もともとスポーツより勉強が好き。中高は東京・葛飾の私学だったのですが、6年間成績はトップでした。

杉本 すごーい。

武井 トップ3は学費が免除になったから。うちは母がいなくて、父はほかに家庭があったので、2歳上の兄と二人暮らしでした。近くに住んでいた父は部屋を借りてくれて時々お金も置いていったけれど、ぜんぜん足りなくて。

清水 へえー。苦労したんだ。

武井 ちょくちょく電気も止まって、真っ暗で勉強できない。先生方はみんな事情を知ってるから、そんな時は僕を家に泊めて、ついでに勉強も教えてくれました。昼は職員室でパンを分けてくれたり。

清水 わあ、いい先生。

武井 下町だから、周囲の人たちもみんなかわいがってくれて。

杉本 じゃあ、武井さんの今の成功を、みなさんわがことのように喜んでいるんじゃないですか?

武井 まだ勤めている先生もいるので、生徒たちに「あいつはこんなふうに頑張った」と話をしてくれているそうです。だから、学校や先生や地域に育ててもらって、今の僕があると常に思ってます。

杉本 そういうベースがあるから、発言がうわべじゃなくて、心からの言葉になるんですね。社会に貢献したい、還元しなきゃっていう意識がコメントに表れる。その理由が、今日わかりました。