「パーソナルトレーナーの指導を受けながら、関節周りを中心とした体のケアや筋力アップに努めています」(撮影:鍋島徳恭)
現在発売中の『婦人公論』6月22日号の表紙は歌手の由紀さおりさんです。デビューから50年を迎え、「ひとり舞台」に挑戦しようと、三味線と日舞の稽古を本格的に始めたことから、着物の素晴らしさに目覚めたという由紀さん。多くの公演が新型コロナウイルスの感染拡大で延期や中止になるなか、体のケアにも本格的に取り組んだとか。発売中の『婦人公論』から記事を掲載します。(構成=丸山あかね)

着物文化は物を大切にすることにも通じる

表紙では、気持ちがパッと華やぐような黄桃色の着物を着ました。そしてもう一枚は梅雨の季節を意識して、渋い単衣の着物に紫陽花柄の帯を合わせています。童謡もそうですが、和服もまた、四季とともに暮らす日本人の繊細な心を象徴する大切な文化のひとつです。

着物文化を見直すことは物を大切にすることにも通じています。

たとえば私は、母から譲り受けたり、周囲の方々から頂戴したりした着物を仕立て直し、洗い張りをして自分仕様に。それから簪(かんざし)や帯留めは、使わなくなった指輪やネックレスを宝飾デザイナーの故・森暁雄さんに作り直していただきました。

実は、着物の素晴らしさに目覚めたのはここ最近のこと。由紀さおりとしてデビューして50年を迎え、さらなる高みを目指して「ひとり舞台」に挑戦しようと、三味線と日舞を披露することを決めたのがきっかけでした。

着物を着てお稽古をしますので、自分で着付けができるようになりたいと考えて、70の手習い。そこから季節のルールなどを学びはじめ、気づいたら夢中になっていたのです。

日比谷音楽祭2021にて。中央が由紀さん。右は姉の安田祥子さん (C)日比谷音楽祭実行委員会