『婦人公論』6月22日号の表紙に登場した由紀さおりさん

今年できることが来年もできるとは限らない

それにしても新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、多くの公演が延期や中止になってしまったのはショックでした。私の年齢になると、今年できることが来年もできるとは限らない。実際、坐骨神経痛など、体を酷使して仕事をしてきたことのツケが回ってきたのを感じていたのです。

といって闇雲に焦りを募らせていても埒(らち)が明きません。そこでパーソナルトレーナーの指導を受けながら、関節周りを中心とした体のケアや筋力アップに努めています。

由紀さおり特別記念公演『夢の花 ー蔦代という女ー』で芸者役を演じた。原作は有吉佐和子の『芝桜』

今年の2月に東京・銀座の能楽堂でひとり芝居をご披露できた時は、感慨もひとしおで。お客様に感謝するとともに、私は生の舞台が大好きなのだと、あらためて痛感しました。

その一方で、新たな挑戦も。映画『ブルーヘブンを君に』で初主演を務めました。がんで余命半年と宣告された主人公の冬子は、ある理由からハンググライダーで空を飛びたいと思い立って──というストーリー。夢を諦めない冬子の生き方には、大きな勇気を与えられました。

初主演映画『ブルーヘブンを君に』では、がんで余命半年と宣告された女性を演じた

でも、信念を貫くのは簡単なことではないとも思います。私自身はコロナ禍の今、歌い続けていくための本気度を試されているような気がしてならないのです。自分らしく、真剣に。そして、諦めない人生を爽やかに歩んでいきたいと思っています。

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