夫婦の共有財産は基本的に2分の1ずつ

離婚時にもらうお金で、もっとも高額になりやすいのが(2)財産分与。有名人の離婚にともない、数千万円から億を超える「慰謝料が支払われた」と、ワイドショーなどで報道されるのも、そのほとんどは財産分与額と合わせた金額です。

財産分与とは、結婚している期間に夫婦で協力して取得した財産を、それぞれの貢献度に合わせて分配する制度をいいます。預貯金や不動産、有価証券、保険解約返戻金などがその対象。分与の割合は、夫婦で2分の1ずつにする例が多いのですが、前述したように、不貞行為など相手に原因がある場合、「慰謝料的財産分与」として金額を上乗せしてもらうこともできます。

注意したいのは、妻に渡す金額を少なくするために、夫が財産を隠す可能性があること。日ごろから、夫の給与明細、金融機関からの郵便物などをチェックしておくことをおすすめします。

もう一つ気をつけたいのは、住宅ローンなどマイナスの資産も財産分与の対象となること。また、独身時代の貯金、親から相続した財産は夫婦それぞれの固有の財産なので、分与の対象にはなりません。

夫が将来受けとるはずの退職金も支給が確実であると見込まれれば、財産分与の対象となります。ただし認められるのは婚姻期間に対応する部分だけです。

熟年離婚では、(3)年金分割も大事なポイント。これは婚姻期間中に夫が納付した年金保険料の一部を、離婚した妻が分割して受けとれる制度です。対象となるのは厚生年金と共済年金に限られ、夫が国民年金にしか加入していない場合は適用されません。婚姻年数にもよりますが、その割合の多くは、夫の年金の50%ほどです。

また、老齢基礎年金は分割されないため、一般的なサラリーマンと専業主婦の場合、離婚した妻が受けとれる金額は、自分の国民年金+4万から5万円くらいでしょう。はっきりした金額が知りたい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」で確認することができます。

年金分割の割合が決まれば、最寄りの年金事務所か、所属する共済組合で「年金分割の請求」を行います。請求期限は離婚成立から2年以内。年金をもらう年齢になってからでは遅い場合もあるので、手続きをお忘れなく。