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某芸能人の不倫報道が話題になっています。夫の浮気がわかったら、妻としてどうすればいいのか? いざ離婚という選択肢をとる場合には、慰謝料、財産分与、養育費といったお金の問題が浮上していきます。中里妃沙子弁護士にその注意点をうかがいました。日ごろから家の資産を把握し、いざという時に、泣き寝入りしない妻になりましょう。(構成=山田真理)

離婚は急がず冷静に

私は弁護士として、年間300件以上の離婚相談を受けています。

日本の法律は妻の立場を守るという側面が強く、冷静に時間をかけて条件を整えさえすれば、妻にとって有利に離婚を進めることができます。決心したら着々と準備を進めるようにしましょう。

離婚にともない、夫に請求できるお金には、(1)慰謝料、(2)財産分与、(3)年金分割、(4)養育費、(5)婚姻費用があります。

夫が不倫をしたという女性の相談で、まず聞かれるのが「慰謝料をどれだけとれますか」というものです。(1)慰謝料は、夫が離婚の原因を作った場合、妻が受けた苦痛に対して請求することができるもの。夫と相手の女性にも求めることができます。不倫でも一時的な浮気でも、配偶者ではない相手と肉体関係を持つと、「不貞行為」として離婚原因になります。

気をつけたいのは、夫の不貞行為が事実である証拠が不可欠なことです。メールやLINEのやり取りで、明らかに肉体関係を持ったということがわかる文面、ラブホテルや相手の自宅に出入りをしている写真や動画、音声などがあると有利。証拠として採用されるくらいの精度を持った「不貞の証拠」をしっかりと集めることが大切です。

とはいえ、慰謝料の額は期待するほど大きくありません。個別の事情によりますが、夫が20~30代なら、100万円台。熟年離婚でも、300万円を超えるケースはほとんどないでしょう。たとえば興信所や探偵事務所に証拠集めを依頼して、調査の長期化などにより費用がかかったら、慰謝料をもらっても赤字になってしまう可能性があるくらいの金額です。

では、苦労して証拠を集めても意味がないかといえば、そんなことはありません。というのも、現在の法律では「相手の同意がなければ、勝手に離婚はできない」と定められており、離婚の原因が夫にある「証拠」を妻が周到に準備し、切り札として提示すれば、夫から受け取る金額を増やすこともできるからです。