お互いの顔がわかるというのは安心感
大門ハイツの第1期入居者で、日曜喫茶も初期のころから手伝っている西出美智子さん(75歳)もひとり暮らし。早期退職するまでは大阪の製薬会社に勤めていた。
「今はコロナで中止になることが多いのですが、日曜喫茶のほかに東日本大震災を機にできたマンション住民の『絆の会』のイベントに参加したり、刺繍を習ったりしてのんびり暮らしています。普通のマンションはあまり近所付き合いがないところも多いと思うのですが、ここは仲がいい。お互いの顔がわかるというのは安心感に繋がりますね」
同じく初期からの入居者である源田雅子さん(73歳)も独居で、日曜喫茶や絆の会のメンバーだ。
「夫は14年前、手術中に目を覚まさないまま亡くなりました。しばらくは『どうしよう、ちゃんと成仏できるんやろか』と落ち込みましたが、私の周りの人たちは、みんないい人で。近所で私の顔を見るたびに『いやー、元気でよかった』『鬱になってへんか心配したわ』と一緒に涙を流してくれて、精神的にもすごく助けられました」
今は元気いっぱい。近くの運動公園の散歩と買い物で1日1万歩以上を歩くのが日課だ。
「日曜喫茶ではマンション以外の方と顔見知りになることもあります。そうすると買い物や出先でばったり会った時などに挨拶したり立ち話したりする人も増えて、それも楽しみのひとつ」
絆の会では春は花見、夏は夏祭り、秋は防災訓練を兼ねたオータムフェスタ、冬は餅つきなど、四季折々の行事もある。早くコロナの状況が落ち着いてイベントを再開できる日が待ち遠しいという。
***
今回の取材では何人もの人が、「誰かを支えることで、むしろ自分が勇気をもらい支えられている」と語った。助けることは助けられることでもある。加速する超高齢化と「おひとりさま」社会を明るく生き抜くヒントが、ここにあるように思えた。