イラスト:小川かなこ
夫を見送って10年、ほぼひとり暮らし。結婚生活も長ければ、もはやあこがれもない。もう誰かの人生に責任を持ちたくないと思うのは本音かも。とはいえ、たまにデートしたり、旅行したりと「夫婦ごっこ」を楽しむ相手がいてもいい。ひとりだからこその秘めごとや決めごとがあるもので――誰にも見せない秘密のMy ルーティンとは

バスタオル1枚でリビングに

湯沸かし器のスイッチを押すことから、私の休日の朝は始まる。

3年前、ひとり暮らしになるのと同時期にリストラにあい、訪問介護のヘルパーからデイサービスの介護職に転職した。同じ介護職とはいえ、前職と違って拘束時間が長く、体力もかなり使う。なので、週3回のパート勤務でも、1日働くと本当に疲れる。

翌日に仕事が入っていないと気が緩むのか、夕食をとるのも億劫になるくらい。お風呂にも入らずに寝たくはないので、なんとか湯舟に浸かるが、身体が温まるとすぐ出る《カラスの行水》になってしまう。しかしそれでは翌日に疲労が残る。

そこで朝風呂に入ることにしたのだ。時間を気にせず湯舟にゆっくり浸かり、身体を温めるのが心地よい。

誰もいないから、お風呂から出たらバスタオル1枚でリビングに行ってしまう。そこでテレビを見たり音楽を聴いたりしながら、髪を乾かし、顔を整えると、本当に優雅な気分になれる。

夫が病気で亡くなって10年。2人の子どもたちも社会人となり、家を出た。息子は最近結婚したが、近所に住んでおり、わが家に置いてある車を通勤に使うので、ほぼ毎日やって来る。娘は数ヵ月に一度くらいしか帰ってこない。なので、ほぼひとり暮らしである。