50代後半で初めてのひとり暮らし

知りあいにこの状況を話すと「寂しくない?」と言われる。たしかに寂しいと思うこともあった。なにしろ、結婚するまで実家にいたので、50代も後半に入って初めてのひとり暮らしである。

人恋しさに友達に電話しまくった時期もあった。特に去年は緊急事態宣言により、仕事以外は引きこもっていたので、曜日ごとに違う友達に電話し、時には2時間を超えるおしゃべりになったことも。

だが、他人の目を気にする必要がない生活は爽快である。慣れてくると、ひとりの過ごし方にいろいろ変化が出てきた。

ひとりなら時間と場所を自分のためだけに使い放題。

好きな食べ物を独り占めできるのも愉快だ。ある有名ピザチェーンがコロナ下で働く介護従事者に1人1枚ずつピザをプレゼントするという企画があった。職場の仲間が応募したところ、見事当選し、めでたくピザをもらえることに。

種類を選ぶとき私は「エビ」にした。娘はエビアレルギーがあるので、同居していたら避けていただろう。誰に気兼ねすることもなく、おいしく完食。

また、それまで予約もなかなか取れなかった近所の人気レストランがコロナ下でテイクアウトを始めた。私はこの機会に2回購入したが、それなりに値が張る。友人のなかには家族全員分を買うと高くつくからと諦める人もいた。

一方、ひとり分の料理を作るほうがコストパフォーマンスが悪いと気づき、自炊をやめてしばらくすると、体調が悪くなってしまった。これではまずい、と料理を再開。毎日は作らないが、休みの日に冷蔵庫の中を見て作り置きする。味つけは私の好みに塩加減を調整して、ダイエットメニューにしたって文句を言われない。

生活の楽しみが増えると、自由を謳歌できるようになってきた。