内容は決めすぎず枠組みを伝えておく

自分の葬儀やお墓について考えておくことは、自分自身が納得するという以上に、「遺された人のために必要」といっても過言ではないでしょう。しかしそれは、細かいリクエストを残しておくということではありません。

まずは、「訃報の連絡をしてほしい人」をわかるようにしておくこと。身内以外は参列しない家族葬で済ませても、誰ともお付き合いがなかったという人はいないはずですから、どこかのタイミングで訃報の連絡をすることになります。会葬者を招いた一般葬をする予定ならなおさら。友人、知人全員の連絡先を残しておく必要はありませんが、「この人に連絡すれば、このグループには伝わる」といった、カギとなる人をピックアップしておきましょう。エンディングノートを書くなら、そこに連絡してほしい人の年賀状を挟んでおくだけで十分です。

葬儀を行う段になると、家族は準備でバタバタします。ですから、葬儀社と生前契約を結んでいたり、互助会(冠婚葬祭の積み立て制度)に加入していたりする場合は、それがわかるようにしておくことも大切です。互助会に入っていたことに家族が気づかず、病院に紹介された葬儀社に頼んでしまうと、これまで積み立てたお金が無駄になってしまいます。

また、家族葬にするか、一般葬がよいか、あるいは火葬のみ(直葬)かの希望は、事前に家族に伝えておくとよいでしょう。ただし、自分が現役世代で、仕事関係などでお世話になっている人が多い場合は、一般葬にするのがおすすめです。家族葬にすると、葬儀後に弔問客が次々に訪れるなどして、かえって遺族に負担がかかる場合があるからです。

葬儀費用についても、明確にしておくこと。預貯金や死亡保険金など、葬儀に充当するお金がどこにあるか、明記して家族に伝えておきましょう。

そして、葬儀を取り仕切る人を決めておくことも重要です。葬儀のやり方に親戚が口を出してくることはよくあります。揉め事を避けるため、生前に「葬儀は長男に一任します」などと決めておくのがよいでしょう。

一方、葬儀内容について詳細な希望を残すのはおすすめしません。たとえば、BGMや祭壇の花の種類など。すべてご自身で準備して亡くなるならいいのですが、細かく指定して「後はよろしく」という状況だと、それが叶えられなかったとき遺族が心残りになってしまいます。それより、元気なうちから家族とたくさん会話をしておいてください。葬儀についてではなく、自分はどんな花が好きで、どんな色が好きか。趣味の話でもかまいません。そうすれば、遺族は「お母さんはこの花が好きだったから」と、葬儀のイメージをしやすくなります。