墓は「承継」するもの。何年も先を見据えて
次に、お墓についてお話ししましょう。夫の墓や実家の墓に入る方が多いと思いますが、最近は新しく墓を購入したり、永代供養墓を選んだりする人も増えています。
何を選ぶかは自由ですが、大切なのは「その墓を誰が承継するのか」ということ。たとえば、「夫と同じ墓は嫌。実家の墓に入りたい」と希望したとします。そうすると子どもは2ヵ所の墓を守らなければなりません。ましてや距離が離れていれば、お墓参りは大きな負担に。本人は「お参りしてくれなくてもいい」と思っていても、遺された人は簡単に割り切れないものですし、実際、承継者としての義務は残ります。使用者不明の墓は最終的に「墓地埋没法」により撤去されますが、先祖代々の墓であれば、それもご先祖様に失礼なので、せめて墓じまいはしたほうがいい。そういう意味でも、お墓のことはきちんと考えておかなければなりません。
ご自身に守るお墓がない、あるいは子どもに負担をかけたくないという人は、永代供養墓を選ぶ方法もあります。しかし「永代供養」といっても、未来永劫、供養をしてもらえるわけではありません。何年(あるいは何十年)かご供養したのちに合祀となるケースがほとんど。その年数によってかかる費用も異なります。希望するお墓や納骨堂の供養がどういう条件なのか吟味が必要です。たとえば「息子の代で最後になりますが、その先はどうなりますか」などと聞いてみると、そのお墓の行く末を教えてもらえます。何ヵ所か比較して納得できるお墓を選ぶとよいでしょう。
最近は「お墓は不要なので、お骨を自宅に置いてほしい」という声も耳にします。遺骨を墓に埋葬しなければいけないという決まりはないので、手元供養でもかまいません。ただし、自分の子どもはともかく、その先の世代になったとき、お骨をそのまま家に置いてもらえるでしょうか。そこまで考えて選びたいものです。
葬儀やお墓のことは先のことかもしれませんが、ある程度決めておくと人生がスッキリします。エンディングノートを活用しながら、ぜひ考えてみてください。