「一口食べてくれ。これがお店の味ですか」って

江上 それ、つけ麺のつけ汁の話で。タレをスープで割ってつくる、その肝心のタレが入っていないと思ったんです。スープだけでも十分おいしいんですけどね。野菜やモツを煮込んだトローッとしたスープで。

清水 みんなはどうしてたの?

江上 たぶん何人かは、「おいしいけど、なんかちょっと違う」って思ってたはず。圧倒的に塩味が足りないんですもん。だからみんなのお腹が膨れる前に箸を止めてもらって、出前できていたお店の人に「一口食べてくれ。これがお店の味ですか」って聞いたんです。

清水 もしそれが自分の勘違いだったら……と思うと、なかなか言い出せないよねえ。

江上 正直、「うちの自信作です」って言うほどのものじゃない、と思っちゃったんですよね。そしたら、大人数の分をつくるために流れ作業をしていて、油ダレが抜けてたことがわかって。

清水・白鳥 おー!(拍手)

江上 ただ、言い出しにくくしたのは塙さんです。一口目で「うまいなあ」ってしみじみ言ったから。

清水 小声で言え(笑)! でもお店も、大切な味と評判が保ててよかったね。

江上 あれを店の味だと思われたら、かわいそう。だから間違いを指摘したというより正義感です。

白鳥 だとしても、私は同じことできないなあ。だって評判の店って言われてたわけでしょ。そしたら「こういう味かな」って受け入れるし、本当の味をそこまで追求する気持ちになれない。(笑)

江上 私、食に対しては並々ならぬ思いがあるんだよ。自分の心の目、心の舌を信じてる。(笑)

白鳥 騙されなかった、情報に。

清水 エノちゃんを物語る、いいエピソードだよね。

<後編へつづく


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