「桃李は基本的に、監督の注文を受けて料理を作るコックさんみたいなところがあるよね。」(古田さん)/「古田さんはいろんなメニューがあるから、監督も『この人の店で食べたい』となるんでしょう。」(松坂さん)

監督の注文に応えるのが俳優の仕事

古田 演じていて、自分の役のどこに共感したかってよく聞かれるけど、オイラは役に共感なんかしない。所詮フィクションだし、フィクションが好きだからね。役作りが大変だとも思わないし。昔は殺人鬼とか売人役をやるのが大好きだったけど、実はちょっと共感してる部分もあるなと気づいてからは、マイホームパパなんかを演じるのが楽しくなってきた。

松坂 共感しながらじゃないと演じられないとなったら、じゃあ共感できない役の時はどうするんだって話になりますもんね。それよりも監督が求めるものを理解して現場に参加するのが、一番理想的かなと思ってます。

古田 桃李は基本的に、監督の注文を受けて料理を作るコックさんみたいなところがあるよね。オイラも俳優とはそうあるべきだと思ってる。できなくても「できます!」って言って、できたらめっけもんでいい。できなかったらもう使ってもらえない、という世界にしなきゃいけないとも思うし。

松坂 僕はまだ「冷やし中華始めました」くらいですけど、古田さんはいろんなメニューがあるから、監督も「この人の店で食べたい」となるんでしょう。

古田 「うちの冷やし中華、バルサミコ酢使ってます」みたいな。

松坂 古田さんはお芝居もスパッと小気味よくて、かつ独自の世界観を築いている。唯一無二なところがあって誰も真似できない。参考にしたいけど、とてもじゃないけど難しくてできないです。