子どもがいないおじやおばの看取りを引き受けるのは、甥や姪しかいない。そんな事態に直面した人の本音は。一人目の沙織さんは、元祖キャリアウーマンの伯母から突然、身元引受人に指名されてーー(取材・文=武香織)

《ケース1 沙織さんの場合》
母や妹もいるのに負担は私ひとり

東京都内で夫とふたりの娘と暮らすイラストレーターの沙織さん(50歳=仮名)。14年ほど前、彼女のもとに、母親の姉から手紙が届いた。伯母は、独身でバリバリ働き、定年後は長崎県の海辺に建つマンションを購入。優雅なひとり暮らしを満喫する、元祖キャリアウーマンだ。

──70歳の誕生日を迎えた今日、あなたにお願いの手紙をしたためます。今後、介護が必要な身になったり、死を迎えた場合、さまざまな手続きや整理が必要です。そのすべてをあなたに一任したい。永代供養のお墓も購入したので、よろしく。なお、お金の心配はいりません──。

「えっ、なぜ私!? ですよ。だって、伯母より一回り下の私の母は、当時まだ58歳と若かった。しかも、私の妹はお隣の佐賀県に嫁いでいたんですから。ふたりとも専業主婦。なにも、働く主婦の私を選ばなくてもいいんじゃない?って。ただ、よくよく考えると、伯母がいわゆる身元引受人に私を選出した理由に、なんとなく察しがついたんです」