「彼女と知り合えてよかった。人生が豊かになった」

少し落ち着いてきたら、「点」をふたたび「立体」にしていく作業で死別の喪失感と向き合ってみましょう。

たとえば一緒に撮った写真を見たり、もらった手紙を読み返したり。あるいは一緒に仲良くしていた友人たちと食事しながら、「彼女がいたら、きっとこの料理を頼んだんじゃない?」「あの旅行でも食べたわね」などと話題にしてみる。

そうするうちに、彼女はただ「死んでしまった存在」から、「生きている間にいろいろと楽しいこともあった一人の人間」として立体的に振り返ることのできる存在に変わっていきます。

ケンカもしたし、困ったところもあった。でも「彼女と知り合えてよかった。人生が豊かになった」と、自分自身の人生も肯定できるようになるでしょう。

コロナ禍の今は、友人という関係では病院へのお見舞いも行けず葬儀にも参列できないというケースも多いと思います。亡くなった事実は知らされても、きちんとお別れができなかったために心のどこかで「信じられない。うそではないか」と否認したまま、悲しみ切れない場合もありそうです。

しかしこれも、心の健康上はよくない状態。コロナが落ち着いたときに友人同士で偲ぶ会を開いたり、お彼岸や命日にお墓参りをしたりして故人を思う時間を持つことが、心の整理につながるでしょう。

 


【誌上相談室】60歳からの友情、距離感に悩んだら
〈1〉段取りは私任せで、いつも甘えてくる友人
〈2〉乳がんを患った私に対する友人の気遣いが重い
〈3〉コロナ禍で感じた価値観の違いや温度差
〈4〉友を亡くした喪失感とどう向き合えば……
〈5〉親が介護施設に入ることを暗に非難された