イラスト:飛田冬子
人生後半に差しかかり、これからは本当にわかり合える友人と穏やかな関係を築きたい。でも、心を通わせるのが難しい場面もあって──。読者アンケートで寄せられたお悩みに、人生相談のプロがアドバイスします(構成=山田真理)

《答える人》

久田恵(ひさだ・めぐみ)ノンフィクション作家

〈私が考える60代からの友達づきあい〉
「違う」と思えばリセットしていい

女性は家庭を持つと、地域や学校関係、親戚などと「上手に」つきあうことが求められます。でも60代にもなれば、そうしたしがらみからも解放され、好きな人と「自由に」つきあえるようになるはずです。

せっかく自己中心に生きていいという権利を得たのですから、お互いありのままにわがままを言い、時にはケンカもしながら、相手のことを受け入れる。大人の友達づきあいには、そんなおおらかさも必要ではないでしょうか。

時代が大きく動き、価値観も人それぞれに揺らいでいます。もし今までの友人関係で「これは違うな」と思うことがあるのなら、無理につきあい続けなくてもいい。自分らしくポジティブに生きるという覚悟があれば、友達づきあいはいくらでもリセットできると思います。

 

水島広子(みずしま・ひろこ)精神科医

〈私が考える60代からの友達づきあい〉
様子を見ながら慎重に

学校の同級生や仕事の同僚、ママ友のように若い頃の友人関係はもともと共通点が多い人たちの中で見つけることが多いでしょう。ところが60歳を過ぎてから知り合う人は、年齢も立場も価値観もバラバラ。その中から本当に気の合う友人を見つけるのは、そう簡単なことではありません。

親切に声をかけてくれた人と仲良くなったら、実はグループでも困ったトラブルメーカーだった、ということも。近い背景を持った人と思っても、考え方がまったく違う場合もあるでしょう。

友人関係でいえるのは、遠い間柄を近づけるのは容易でも、いったん近づいた関係を遠ざけるのは難しいということ。まずは挨拶する程度の「知り合い」を作り、徐々に様子を見ながら「友人」になっていく。そんな慎重さも、大人の友人関係には必要なことではないでしょうか。