ひとり身のお正月は寂しくなってしまうから

元日は毎年4人でうちに集まり、お正月料理をいただくことにしていました。おせちは取り寄せて、あとはおかず数点と、お雑煮。海老のすり身をパンに挟んで揚げたものは皆さんの好物なので、必ず作ります。お雑煮は鶏のひき肉を団子にしたものを入れたり、鴨肉を入れるなど、年によっていろいろです。

身内が少ない高齢の「おひとりさま」の女性にとって、お正月は、ちょっと寂しい気分になりやすい時期ですから、4人で過ごす時間は貴重でした。

18年の秋、京さんから「明日、ちょっとうちに来てほしい」とお電話がありました。行くと、公証役場の公証人と税理士さんがいます。なんでも、遺言書を作成するので立会証人になってほしい、ということでした。

その時、「なんで私が立ち会わなくちゃいけないの?」と、ちょっと怒ってしまったんです。京さんがいなくなることなんて、考えたくなかったから。でもご自身は、そう先が長くないことを予感していたのかもしれませんね。

亡くなる数ヵ月前から入院なさっていたので、時々お見舞いに行っていましたが、亡くなる前日にもなぜか気になって病院に行きました。するとだいぶ弱っておられる様子でしたが、声をかけると、私の手を探して握ってくれました。

翌日、容体が悪化したと連絡を受け、病院に駆けつけて――結局、私が看取ることになったのです。親しかった6人で密葬を営み、ハワイに用意してあったお墓に納骨に行きました。コロナ禍が始まってから、ハワイにお墓参りに行けないのが残念です。

京さんが欠けてしまったこともあり、20年、21年と2年続けて、お正月の会は開いていません。でも「寂しいけれど、来年はやろうか」と話しています。